2022年4月に飲んだワインのうち、メモや写真が残っているもののレビューです。
今年は4月末までで70本くらいのワインを飲んだのですが、4月もおもしろいワインとの出会いがありました。
もくじ
MW夫妻が作るマールボロのSB
個人的な好みとしてはもう少しNZ的な南国果実の甘い香りが上がってきた方がいいけど、NZのクリーンさ・明るさがありつつミネラル感のある余韻はロワールに似ていて良いとこ取りだなと思いました。
外れないので、普段飲みや友人と飲む場には最適。
MW(マスター・オブ・ワイン)が夫婦で作っているワインらしく、ワインマニアにはそれだけでもテイスティングしてみたくなる売り文句。
飲んでから気付いたけど、これの2020年はVinousで95 points獲得とのこと。
美味いのは美味いけど、95点…?
ヴィンテージで全然味違うものもあるので飲まずに批評するのは失礼ですが、90点台後半が出るような複雑味は感じなかったかな。。。
- 生産者:ブランク・キャンバス
- 地域:マールボロ(ニュージーランド)
- 品種:ソーヴィニヨン・ブラン
- インポーター:ジーアールエヌ株式会社
- 大阪のワインショップで2,000円台
苦手なヴァン・ナチュール生産者
ジェラール・シュレールには良い思い出がない。
過去にピノノワールとシャスラを飲んだことがあるけど、そのどちらも良くない自然派にありがちな醸造エラーっぽいにおいを多分に含んでいました。
このリースリングもそう。どのキュヴェも「ワインか酢か」で言うと酢寄りになってしまうようなタイプの味わいに感じます。
揮発酸や酢酸エチルは適正量であれば魅力的な香りなんだけど、ここまでくるとワインというよりむしろお酢のような…
カタカナにすると長ったらしい名前は直訳すると「グラスは果実の中に」という倒錯した謎の言葉。
「フランス国内でめっちゃ注目されてます」という煽り文句でまとめ買いした生産者なので、まだセラーにピノグリが残っている……
「悪い自然派」(と僕が思うもの)に対する嫌悪感と共に、「ボトル差や自分の間違いなのではないか?」と希望も捨てきれないワイン沼の深みにはまっています。
このピノグリは果たして…
- 生産者:ジェラール・シュレール
- 地域:アルザス(フランス)
- 品種:リースリング
- インポーター:ラシーヌ
- 大手ネットショップで4,000円台
NZでガメイとは、如何に?
リッポンはセントラルオタゴで最初にうまい!と思った生産者なので今もセラーに何本かストックがあるお気に入り生産者です。
どのキュヴェも赤系果実の香りが豊かでフルーティーさがあり(個人的にこれが大事)、深みのある色調とスパイシーなニュアンスがある。
ビオディナミのガメイではあるが、今流行りのボジョレー自然派生産者などにありがちな還元臭とは無縁。
ボジョレーの花崗岩とセントラル・オタゴのシストの違いとかも味わいに反映されているのか?
ガメイってもっと他の産地でも育ててほしい!と思う1本。
- 生産者:リッポン
- 地域:セントラル・オタゴ(ニュージーランド)
- 品種:ガメイ
- インポーター:ラックコーポレーション
- ネットショップで4,000円
一番好きなニュージーランドワイン!
リッポンの赤の中で一番たくさん飲んでいるワインです。
今までに2012, 2013, 2014, 2016を飲みました(多分)。
個人的なこのワインのイメージは、明確なヴィンテージの個性があり、開いた状態と閉じた状態が分かれるタイプ。
今回飲んだこの2013や過去に飲んだ2012は開いていて複雑で美味しかったのですが、2014はというと閉じた感じで今ひとつでした。
一部全房発酵+開放発酵槽でナチュラル気味に作ってることを想像するようなスパイシーさ・セイボリーさがあるんですが、調べてみたらステンレスタンクなんですね。
色調はステンっぽくないなーと何度見ても思いますが、ノンフィルターだからか…と自分を納得させる。
また別のヴィンテージも飲みたいし、複数ヴィンテージ並べて水平試飲してみたいワインでもあります。
生産者:リッポン
地域:セントラル・オタゴ(ニュージーランド)
品種:ピノ・ノワール
インポーター:ラックコーポレーション
ネットショップで4,000円台
ありがとうワイナート。
ワイナートの読者プレゼントで幸運にも当選したワイン。
初めて見るワインだったので楽しみにしつつ、しばらく放置してました。
きれいだけど、少しNZのマールボロに期待する要素は足りていなかったかもしれない。
どちらかというとフリウリのクリーンに作られたSBを思い浮かべました。
日本ではあまり流通していないもののようで、楽天などには見つからなかったものの、在庫がある時は下記サイトから買えるようです。
Konrad Sauvignon Blanc 2016 コンラッド ソーヴィニヨン・ブラン 2016 | 英和商事ONLINE WINE SHOP (thebase.in)
- 生産者:コンラッド
- 地域:マールボロ(ニュージーランド)
- 品種:ソーヴィニヨン・ブラン
- インポーター:英和商事
- ワイナートの読者プレゼントで入手。定価4,000円程度
嗅いだ瞬間、好き。
フュルストは良いという噂だけ聞いていたのですが、実際に飲んだのは初めて。
結論、良い。ドイツのブルゴーニュと言われるのも納得です。
ビュルクシュタットという町の名前を冠した村名格のワインで、特級畑ツェントグラーフェンベルク(本当はこれが飲みたかったけど高かった)の若いブドウも混じっているとのこと。
全房発酵らしい淡い色調に、先程のリッポンほどではないがしっかりフルーツの香りがあり、スイートスパイスのニュアンスが豊かな拡散的な香りの立ち方のワイン。
この値段でこのクオリティのワイナリーがドイツにたくさんあれば、もうブルゴーニュに固執する必要もないのではと考える1本でした。
- 生産者:ルドルフ・フュルスト
- 地域:ファルツ(ドイツ)
- 品種:ピノ・ノワール
- インポーター:ヘレンベルガーホーフ
- ネットショップで6,000円
クヴェヴリワインの本気? 恐るべきポテンシャル
「ああ、またこれか…」と開けた時思いました。自然派にありがちな揮発酸混じりの独特の香り。
Twitterで面白いワインコメントをしている人が絶賛していたので、良いと思っていたのですが…
そう思って少し飲んで1ヵ月ほど放置後、もう飲めないだろうから捨てようと思いました。
しかし……
そのワインは開けたての頃とはまったく違う姿になっていました。
グラスの中が暖かく感じるような濃密な果実の香り、干し草や薬膳のような複雑さが立ち込める。
ヴィンテージは2018なんですが、1ヵ月放置したこのワインは適度に熟成したブルネッロのような、迫力と柔らかさを併せ持ったワインになっていました。
ビオディナミ系のワインは話にならないレベルの醸造エラーみたいなものからこういう面白い体験をさせてくれるものまで幅広く、しかも開けてから数週間経たないとその変化に気付かないようなワインもあるので沼が深いなと思います。
ちなみにジャケットの左端に描かれているSolikoというキモカワな人物こそ、ジョージアワイン界の重要人物である故・ソリコ・ツァイシュヴィリ。
この2018年は彼が携わった最後のヴィンテージとのことです。
- 生産者:アワーワイン
- 地域:カヘティ(ジョージア)
- 品種:サぺラヴィ
- インポーター:ノンナ・アンド・シディ
- ネットショップで4,000円台
4月まとめ
まとめると、「ニュージーランド最高」です。
今回紹介したワイン7種のうち4本はニュージーランドでしたね。
以前ワインインポーターに勤めていた時からニュージーランドは好きでしたが、年々ニュージーランド信仰が深まっていきます。
ただマールボロのソーヴィニヨンブランでもかなり上品なスタイルのものが増えてきたのが個人的には少し肩透かしを食らったような気がすることもあり、やはりマールボロはパッションフルーツと青草の鮮烈な印象を持っているものが産地のTypicity(典型性)があって良いなぁと思います。
5月は良いワインを飲む機会があるので、どんな体験ができるか楽しみ~です。
それではまた。