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"ソバーキュリアス"とは? 「あえてお酒を飲まない」ノンアルコールでも楽しめる新しいライフスタイル

この記事ではソバーキュリアス(Sober Curious)というムーブメントについて説明します。

ノンアル、低アル、微アル飲料の生産と消費が増加する昨今、世の中を読み解くために知っておいて損はないトピックになるかと思うので、この単語を初めて聞くという人も是非ご一読ください。

なお、日本語表記として「ソバーキュリアス」が既に一定の市民権を得ているようなので、本記事でもそちらで表記を統一したいと思います。

ソバーキュリアス(Sober Curisous)とは

ここからはソバーキュリアスという概念についての説明と、それを説明する上で外せない書籍を紹介します。

ソバーキュリアスの定義は?

ソバーキュリアス(Sober Curisous)という語は下記の英単語2語を組み合わせたものです。
厳密に定義された学術的な用語ではありません。

  • sober(シラフの、酒を飲んでいない)
  • curious(好奇心の強い、気になる)

これらを合わせて「シラフでいることに興味を持っている 」あるいは「あえてシラフでいることを選択する」ような行動や態度、スタンスのことをソバーキュリアスと呼びます。

英語圏のサイトに目を通すと、派生語としてsober-curious lifestyleのような形容詞形や、sober curiosityのような名詞形で使われることもあるようです。[1]What Does It Mean to Be Sober Curious? (verywellmind.com)

一般に禁酒や断酒と混同しがちなソバーキュリアスですが、ポイントはあくまでも断酒それ自体を目的にしていないところです。
単なるアルコール忌避の運動ではないので、気分次第ではアルコールを摂取することもOK。

ポイントはあくまでも自分で選び取ること。
お酒を飲むことが当然とされるような場で、実はお酒を飲まなくてもいいのだと気づくこと、これまで当然のように手に取っていたアルコール飲料をひとつの選択肢として相対化することがソバーキュリアスの本質です。

後述するルビー・ウォリントンの著書でも触れる通りウェルビーイング(well-being)の文脈とも分かちがたく結びついた概念のため、マインドフルネス、ヨガ、ファスティング等との親和性も高いです。

出典:What Does It Mean to Be Sober Curious? (verywellmind.com)

ソバーキュリアスの生みの親 ルビー・ウォリントン(Ruby Warrington)

ソバーキュリアスという概念を(ゆるく)定義したのがルビー・ウォリントンの同名の著書です。
発刊は2018年のため、比較的最近の考え方であることが分かりますね。

現在では和訳が刊行されており日本語でも読めるようになっています。
(ちなみに原書はKindle版電子書籍ならなんと220円で買えます!)

元々ナイトクラブに入り浸って毎週末お酒を浴びるように飲んでいた経歴のある著者ルビー・ウォリントンの身の上話から始まり、アルコール尽くしの生活に疑問を抱く経緯、そしてソバーキュリアスな生活への移行とそのメリットが語られます。

副題にもある通り、飲酒による意識の混濁、二日酔いのような後遺症がなくなれば睡眠、集中力、他者と精神的につながることにおいて大きなメリットがあると謳っており、このあたりがマインドフルネス、ヨガ、ファスティングなど大きく関係しています。[2]副題は"The Blissful Sleep, Greater Focus, Limitless Presence, and Deep Connection Awaiting Us All on the Other Side of Alcohol".

ちなみに和訳版である『飲まない生き方 ソバーキュリアス』はこちら。

和訳版では帯でも本編でもソバーキュリアスを実践する人物のことを「ソバキュリアン」と呼んでいますが、これは和訳版のみに見られるもので英語版では単に"Sober Curious"と書かれているので、そこは和訳時に造語したものです。

世界的に低アルコール飲料が好まれたり、アルコールを回避したりする流れがある中で、ソバーキュリアス的なライフスタイルは今後一定の市民権を得ていくのではないかと個人的に考えています。

自身やパートナーの妊娠・出産・育児や、体調不良・病気など、酒量を制限しなければならないライフイベントは誰もが無縁ではいられません。
そんな時にこの"ソバーキュリアス"という概念が存在することで新しいお酒との向き合い方を発見する人も少ないのではないでしょうか。

何がアルコールの代わりになるのか?

いざソバーキュリアスを実践したい!と思ってもアルコールに代わって何を飲んだらいいんでしょうか?

お酒の場は好きだけど、お酒は飲みたくない、だけど場の雰囲気には合わせておきたい……
そんな場合は飲食店ならモクテル(mocktail=カクテルを模したノンアルコールドリンク)を注文するという手があります。
若い人を中心に飲み方が多様化する中で、モクテルを取りそろえる店は急速に増えており、モクテル専用メニューを売りにしている飲食店すらあります。

家飲みやBBQの時にはモクテルを自作するのも楽しそうですが、スーパーで買えるものが気楽に飲めますよね。
ここからはスーパーなどに売っているノンアル飲料をいくつか紹介したいと思います。

ウィルキンソン タンサン #soberスパイシーレモンジンジャ

#sober(#シラフ)と製品名に入っているだけあり、お酒の飲まない世代や顧客層にリーチすることを目指していることが分かります。
アサヒ飲料の公式ページにも #ソバーキュリアス の文字が。
https://www.asahiinryo.co.jp/wilkinson/sp/sober/

ウィルキンソンシリーズの新シリーズで、ウィルキンソン辛口ジンジャーエールの辛さをそのまま受け継いでいます。
実際に飲んでみましたが、レモンとショウガ由来のスパイシーさと清涼感があり、冷やして飲むとレモンハイボールのようでした。


のんある気分シリーズ

サントリーの「のんある気分」も人気のチューハイの飲みやすさをそのままにアルコールをゼロにしたもの。
味わいは本物のチューハイと比べても遜色なく、バリエーションが豊富なのも嬉しいですね。
https://www.suntory.co.jp/rtd/non-al/

のんある気分は以前ロバート・秋山さんのクリエイターズファイルの中でYouTubeのコラボ広告に出ていました。


ジョエア シリーズ(ワイン)

ジョエアはフランスのワイナリーであるドメーヌ・ピエール・シャヴァンと日本を代表するワイン商社のエノテカが共同開発したワインテイスト飲料。
原材料には南仏で育てられたオーガニック栽培のシャルドネを使用。
https://www.enoteca.co.jp/item/detail/0346N0020

見た目は完全にスパークリングワインのため、飲まない方がいる場での乾杯などにも最適です。


余談ですが、ワインの世界で最も影響力のある評論家の1人であるジャンシス・ロビンソンは自身のWebサイト(JancisRobinson.com)で2019年にノンアルコールドリンクの特集をまとめており、ノンアルコールのワイン、ビール、スピリッツについてそれぞれリコメンドをしています。(英語記事です!)
Sober in charge – the best alcohol-free drinks | JancisRobinson.com

いずれも日本未輸入のようですが、ワイン好きとしてはプロが認めたノンアル飲料をいつかは飲んでみたいものです。

 

この記事を読んだ方がソバーキュリアスに興味を持ち、お酒との付き合い方を考えるきっかけにしてくれれば嬉しいです。

それではまた。

脚注

脚注
1 What Does It Mean to Be Sober Curious? (verywellmind.com)
2 副題は"The Blissful Sleep, Greater Focus, Limitless Presence, and Deep Connection Awaiting Us All on the Other Side of Alcohol".
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ヘチ

外資系メーカーの営業職。フランス留学以来ワインオタクに。JSA公認ワインエキスパート・エクセレンス。元ワイン商社勤務。

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